連載・コラム ロサンゼルスで暮らす人々

編集: Weekly LALALA - 2019年12月04日

人の心を揺さぶる音楽の力

ドラマー

田辺 壮一郎

Soichiro Tanabe


 

LAでのセッションを中心にドラマーとして広く活動する田辺壮一郎さん。共演アーティストはグラミー賞ノミネートプロデューサーのRichard RudolphやAdam Berg、シンガーソングライターのMike Bauer、ジャズミュージシャンのCody Dearなど。 インスタグラムwww.instagram.com/souji_ichi/ https://souji-0719.wixsite.com/soichiro-tanabe

 ロサンゼルスのライブハウスやバー、ミュージカルシアター、チャーチなどを中心にセッションを繰り広げるドラマー、田辺壮一郎さん。

最近では若手ジャズミュージシャンCody Dear、シンガーソングライターでR&BアーティストのMike Bauerのバンドにドラマーとして参加し、LAでのライブのほかツアーで他州を回る。

「Codyのバンドメンバーとしては今、ニューアルバムの制作を進めているところなんです。まだまだ制作の段階ですが、来年春ごろにリリースされるのが楽しみですね」。

セッション、音楽制作だけでなく、日々はクラスで子どもや大人たちにドラムを教えるインストラクターとしてなどドラム中心の生活を送り、渡米5年目にしてミュージシャンとしての自分の居場所をこのアメリカで築きつつある。

 

プロドラマーとして活動し始めたのはLAに渡って以降のこと。

もともと子どもの頃は、アメリカが好きで音楽好きだった父からジャズをよく聴かされていたこともあり、自分も音楽が好きだったという。

「高校で吹奏楽部に入ってパーカッションを選んだことを父に言ったらすごく喜んで、すぐ翌日に電子ドラムを買ってきたんです。物をあまり買ってくれない父でしたが、その時だけは特別だったのを覚えています」。

ティーンエイジャーの頃はロックバンドを組んでドラムを叩いたり、独学でドラムを叩いていたが、大学でジャズ研究会に入って本格的にジャズフュージョンやビバップへとジャンルを広げた。

大学1年では、5ヶ月間のシアトル交換留学でアメリカへの憧れも抱くようになり、しだいにプロドラマーへの夢が膨らんでいった。

 

「5年前にLAの音楽学校で1年半のプログラムに入りました。ところが1年ほど経った時に父が病気で亡くなったんです。音楽をあきらめて日本で仕事をしようとした自分を家族は止めました。僕が音楽で成功することが父の夢でもあった。LAへ戻って学校で一から音楽を学び直しました」

 

そんな田辺さんがさらに音楽と強く結びついた出来事がある。

「LAのゴスペル教会で初めて演奏した時のこと。その空間にいる人たちが音楽や歌を聴いて感動して涙を流したり、喜び叫んだりしているのを見て、『あぁ、音楽が持つパワーってこんなにもすごいんだ』と感じました。それと同時に自分の表現者としてのレベルの低さも思い知った。僕は頭でどうすれば美しく演奏できるかを考えながらドラムをずっと叩いていたんです。でもそうではなく、音楽で一番大切なのは、何を伝えたいか。音楽には人の心を揺さぶる瞬間や魔法のような力がある。そんな音楽を人々の心に届けていきたいんです」。

若手ジャズミュージシャンのCody Dearとは昨年より共演。今秋にもベイエリアツアーに参加した。

Mike Bauerとのコロラド州でのライブでは、現地の高校のクワイヤーとコラボレーションを行った。

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